Vol.7 判断できない事を判断する


<電話>に関して次の様な著述がある。(1)


  当方の状況いかんにかかわらず、電話はつねに最優先の対応を
  要求する。電話をいったん受けてしまえば、「いま忙しいので
  あとで返事します」と言うわけにはゆかないのである。電話は
  掛け手に100パーセントの自由度を与え、受け手に何の自由も
  与えない。これは不合理なことだと思っていたのだが、こうし
  た使い方が社会慣習として確立されてしまった以上、どうする
  こともできない。


判断できない事でも、
その場その場で判断していかないと、
仕事が先に進まないのである。
その場で判断できない事でも、
「うーん。そうだな……○○だ!!」という様に、
一呼吸置く間に、判断しなければならない、と私は考えている。


私が就職試験を受けたH堂では、<電話>が試された。
部屋で、一人、「作品面接(そういうものがあるのである)」
の準備をしていると、<電話>がかかってくるのだ。


どんなにFAXが一般化しようとも、別れ言葉が「メールする!」になろうとも、
最終的には電話で伝えなければならない事がある、と思う。


私は、この<その場での判断>という事が、苦手だった。


そんな折、コンピュータ・マニアの数学の先生が、次の様な事を言っていたのを、
思い出した。


「コンピュータに、二者択一をさせるのは、本当に難しい。
便宜的にでもいいから、候補をもう一つ増やして、三者択一にすると良い」


と。


私は、ワインが好きなので、
「赤か、白か、ロゼか?」
と考えることにした。
ワインには、「赤」と「白」の<二者>だけがあるのではない。
「ロゼ」もある。
「赤」か「白」か、の二者だけではなく「ロゼ」を増やして、三者択一にするのだ。
この候補が「赤」、あの候補が「白」、
そして、もう一つ候補を増やして、「ロゼ」とする。


この効果は、絶大だった。


慣れてくるうち、
それぞれの候補を、「赤」、「白」、「ロゼ」、のそれぞれに当てはめることをせず、
ただ『赤か、白か、ロゼか?』と唱えるだけで、
判断できるようになった。
所要時間、わずか3秒。


日本では、
野球が好きな人が多いので、
「ヒットか、エラーか、フィールダーズ・チョイスか?」
というのも良いかも。


 (1)野口悠紀雄:『「超」手帳法』(講談社, 2006)


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