祇園祭に来ています(宵々山)
夜。
京都。
祇園祭。
宵々山。
啓二と恵理、二人とも浴衣を着ている。
「じゃあ、かえろうか?」
「あっ、啓くんのお母さんに貰った扇子が無い」
「ええっ!」
「無くしたくない…」
「探そうか?」
「ありがとう、啓くん」
「来た道、全部、探そう!」
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恵理がつぶやく。
「全然、覚えないの…」
「どこに差してたの?」
「この胸のところ」
「何か買ったときかなぁ」
「あっ、コレっ! …似てるけど違う」
「ゴミ入れの中も探そう!」
「うーん、無いなぁ」
「あっ、あった!
ちょっと汚れてるけど、コレだ!」
「良かった!」
「恵理、ちょっと泣いてるよ!」
「………」
「恵理が泣くなんて…」
「泣くときは、あるわよ」
「東京に、明日、帰るの?」
「宵山は混むって聞いたから、今日までしか、宿、予約してない」
「昼まで見て、帰れば?」
「そうする」
投稿者 : 城田 博樹 | 投稿日時 : 2007.07.14. 13:15