ひとりで腹を立てていた


それは、高校入試の願書提出の頃だった。


志望校の同じ生徒が、8人、連れ立って、
大阪府立K高校へ、願書を提出しに行った。
郵送での願書提出は不可とされていた。


少し道に迷ったのだが、志望校へたどり着くことができた。


校庭には、ソフトボールをする上級生たちがいた。
楽しむ上級生たちを見て、「この高校に来たい」と、
私は素直に思った。


図書室が願書受付の場になっていた。
受付の男の人が二人いた。


「確認する間、そこに座って待っといてね」


私たちは、椅子に座らされて、15分程、待たされた。
皆、初めて志望校を訪れた喜びに満ちていた。


待つ間、私は、ひとりで腹を立てていた。


これでは、見る人が見たら、どんな生徒であるか、
分かるではないか!
実質的な面接ではないか!
面接は無い、と募集要項に明記してあったではないか!


そんな私の思いも、杞憂だった。


無事入学した私と同じ学年に、足の不自由な娘が、一人、いたのだ。
足を少し引きずって歩いているのを、何度か見かけた。<面接>で確認できたはずである。
だが、その娘の体育の授業は、<免除>していたようだった。


良かった。
K高校は、良い高校だ。


                            (城田 博樹)


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